「電話が鳴ると緊張して頭が真っ白になる」「取り次ぎの言い方が分からない」「不在時の伝言メモは何を書けばいい?」——電話応対は、新社会人が最も苦手意識を持ちやすい業務のひとつです。チャット文化が浸透した今でも、取引先・顧客対応では電話が一次窓口になる場面が多く、最初の数秒で会社の印象が決まります。
本記事では、電話応対を 「相手の時間を奪わない設計」 として捉え直し、受け方・かけ方・取り次ぎ・伝言メモの 4 場面ごとに使えるフレーズを整理します。読了後には、電話が鳴っても定型フレーズで落ち着いて応対できる状態を目指します。
1. 電話応対の本質:相手の時間を奪わない設計
電話応対で最初に意識したいのは、「自分の不安を解消する」のではなく「相手の用件を最短で前に進める」 という発想の転換です。新人がやりがちな「丁寧すぎる長い前置き」「保留が長い」「曖昧な返事」は、すべて相手の時間を奪う行為になります。
押さえるべき原則は 3 つです。
- 3 コール以内に出る(4 コール以降は「お待たせいたしました」を添える)
- 会社名と自分の名前を必ず名乗る(相手にとっての一次情報)
- 保留は 30 秒以内(超える場合は「いったん切って折り返す」運用に切り替える)
2. 電話を受ける時の基本フレーズ
1. 「お電話ありがとうございます。〇〇株式会社 △△部の □□(自分の苗字)でございます」
2. 「いつもお世話になっております」(相手が名乗ったあと)
3. 「△△の件ですね、確認いたしますので少々お待ちください」
4. 「お待たせいたしました」(保留解除時)
取り次ぐ時の流れ
担当者への取り次ぎは、保留 → 担当者へ用件共有 → 取り次ぎ、の順で行います。
受け手:「△△部の □□ですね。確認いたしますので、少々お待ちください」(保留)
↓
担当者へ:「〇〇商事の □□様より、△△の件でお電話です」
↓
担当者:「分かりました、つなぎます」
↓
受け手:「お待たせいたしました。担当の □□におつなぎいたします」
担当者が 不在のときは、「ただ今 □□は席を外しておりまして、〇時頃に戻る予定です。よろしければご伝言を承ります」と切り返します。
3. 電話をかける時の基本フレーズ
1. 「お世話になっております。〇〇株式会社 △△部の □□と申します」
2. 「□□様(担当者名)はいらっしゃいますでしょうか」
3. (取り次ぎ後)「△△の件でご連絡いたしました。今お時間 5 分ほどよろしいでしょうか」
4. (用件後)「ありがとうございました。失礼いたします」(こちらから先に切る)
押さえるべきポイントは次の 3 点です。
- 相手の都合を冒頭で確認する(「今お時間よろしいでしょうか」)
- 用件は結論ファースト(「△△の件で 1 点ご相談したく」)
- 発信側が先に切るのがマナー(受信側が切るのを待たない)
4. 伝言メモのとり方
担当者不在で伝言を預かる場合、メモには次の 6 項目を漏らさず記録します。
| 項目 | 内容例 |
|---|---|
| 受電日時 | 4/29 14:30 |
| 相手の会社名・部署・氏名 | 〇〇商事 営業部 田中様 |
| 連絡先 | 03-XXXX-XXXX(携帯希望か折返しか確認) |
| 用件 | △△の見積書の件で確認 |
| 折返し要否 | 「折返し希望」or「再度こちらからかける」 |
| 受電者 | 自分の苗字 |
特に重要なのは 「折返し要否」と「相手の連絡先」 です。これが抜けると、担当者は誰にいつ何時間以内にかけ直すべきか判断できません。
5. やりがちな NG 表現と修正例
- NG:「もしもし」(ビジネス電話では使わない)
- 修正:「お電話ありがとうございます」
- NG:「△△ですけど」(語尾が崩れている)
- 修正:「△△でございます」「△△と申します」
- NG:「了解しました」(目上に不適切)
- 修正:「承知いたしました」「かしこまりました」
- NG:「分からないので折り返します」と相手にだけ告げて切る
- 修正:相手の連絡先を必ず控え、担当者に共有してから折り返し
- NG:保留中の沈黙が 30 秒以上続く
- 修正:「お時間がかかりそうですので、折り返しお電話いたします」と切り替える
まとめ
電話応対で押さえるべきポイントは次の 3 つです。
- 3 コール以内に出て、会社名・名前を名乗る(相手の時間を奪わない設計)
- 取り次ぎは「保留 → 担当者へ用件共有 → つなぐ」の 3 ステップで進める
- 伝言メモは 6 項目を漏らさず記録(特に折返し要否と相手の連絡先)
ビジネスマナー全体の基礎は、身だしなみと挨拶 完全ガイド で扱っています。文書系の応対作法は ビジネスメールの基本ルール を併せて参照してください。
よくある質問
Q1. 名前が聞き取れなかった時はどう確認すればいいですか?
失礼にならない切り返しは「恐れ入ります、お名前をもう一度お伺いしてもよろしいでしょうか」が基本です。社名や部署名が不明確な場合は「〇〇株式会社 △△部 の □□様、というお問い合わせでよろしいでしょうか」と復唱して確認します。
Q2. クレーム電話を受けた時、最初に何を言うべきですか?
最初に「ご不便をおかけして申し訳ございません」と一次的なお詫びを述べ、相手の話を最後まで遮らずに聞くのが基本です。事実関係が確認できていない段階で全面謝罪はせず、確認後に正式な対応を伝える流れにします。担当者や上司にエスカレーションするのが原則で、自分一人で結論を出さないようにします。
Q3. 携帯電話に発信する時もビジネスマナーは同じですか?
基本は同じですが、相手が移動中・会議中の可能性が高いので、冒頭で「今お時間よろしいでしょうか」を必ず添えます。長くなる用件はメールに切り替えるか、改めて時間を予約する形が望ましいです。










